三井物産 決算内容 まとめ
🔍 決算サマリー(〜2025年6月末)
売上高:3.299兆円(前年同期:3.839兆円、前年比▲14.1%)
税引前当期利益(=純利益):1,916億円(前年:2,761億円、前年比▲30.6%)
1株当たり利益(EPS):約66.7円(前年同期:92.4円、▲27.9%)
※ 5年平均の進捗率は約23.7%に対し、24.9%とほぼ平均的な進捗 。

📉 減益の要因と背景
鉄鉱石や原料炭価格の下落により、資源部門の収益が大幅に悪化。
前年同期は資産売却益が寄与したが、今回の第一四半期にはそれが無く純利益が落ちた。
米国の高率関税政策による景気先行きの不透明感は、投資マインドの低下を懸念材料としつつ一定の影響を織り込んでいるが、現段階で業績には大きな影響は出ていないと表明。
🚀 通期見通しと中期施策
通期純利益予想:7,700億円(変わらず)
基礎営業キャッシュ・フローは4期連続で1兆円規模。2026年3月期の計画は8,200億円。収益の下支えとして底堅く推移中。
資産リサイクル(株式売却や事業転換など)からのキャッシュ・インは6,010億円(2025年3月期実績)などを踏まえ、将来的な資産効率と株主還元に充てる方針。
配当政策:2025年3月期は1株100円、2026年3月期も115円と増配予定。経営基盤・キャッシュ創出を踏まえた株主還元姿勢。
📊 財務健全性と資本効率
TTM(過去12カ月)純利益率:6.14%
TTM ROI:約11.9%、負債比率(D/E):約62%と、健全な水準で安定的な財務基盤。
フリーキャッシュ・フローを営業・投資・株主還元へ戦略的に配分(マネジメント・アロケーションの積み増し)
✅ 要点まとめ
項目 内容
売上高/純利益 減収減益、第1四半期で前年同期比▲30%の落ち込み
原因 資源価格下落、前年同期の特別利益剥落
通期見通し 純利益予想は7700億円で維持、進捗率は約25%と安定
キャッシュ力 営業CF・資産リサイクル余力あり、配当増を継続見通し
リスク 商品市況、地政学リスク、為替・金利変動
強み 多角化ポートフォリオ、安定した財務基盤と配当政策
📌 投資家視点の評価
1. 短期的には見通し割れ感があるものの、配当政策と資産戦略は安定的で、予測レンジ内での対応と評価できる。
2. 資源市況次第では回復余地:三井は化学品やインフラなど非資源セグメントの成長機会にも注目。
3. 地政学リスク・米国政策に注意:関税や景気後退の影響を定期チェックすべき。
全体として、三井物産は資源市況に左右されやすいものの、経営構造として複線化が進んでおり、安定したキャッシュ創出と株主還元を重視する姿勢が明確です。2026年3月期通期目標は維持されており、中期では収益性の改善と資本効率の向上を図る戦略です。